
「良いか、悪いか」。
「正しいか、間違っているか」。
「優れているか、劣っているか」。
「こうするべきか、べきじゃないか」。
私たちの社会に溢れるこうした二元論的考え方は、実は私たち人間に生まれつき備わった「比較する」という機能が生み出した「後付けのラベル」であり、幻想なんです。
私たちは身の回りで起きる出来事や見聞きする全てを「これは善で、それは悪」そして「これは正しくて、それは間違っている」と分別していきます。
「健康は良いことで、病気は悪いこと」。
「自分は正しくて、あの人は間違ってる」。
「裕福なことは優れていて、貧乏は劣っている」。
こういったあらゆる出来事に対する、無意識下で繰り返される分別が、自分でも気が付かないうちに、「こうであるべき、そうするべきじゃない」といった「基準」を自分の中で育んでいきます。
そして何か出来事を見聞きしたり、体験するたびに、その「基準」に照らし合わせ、基準に合致しているものにはポジティブな感情を抱き、合致しないものにはネガティブな感情を抱きます。
そして無意識のうちに、自分の「基準」に合うものをもっと欲しがるようになり、それが執着や欲求となります。
また同時に自分の「基準」に合わないものは避けようとすることにより、物事を思い通りにしたいと言うコントロール欲求が生まれ、理想と現実のギャップに憤りや悲しみや不安といった苦しみが生み出されます。
比較によって生み出された自分の中の天秤の、その揺れや傾きによって感情が左右されるというようなイメージでしょうか。
その自分の中の天秤の揺れや傾きを抑え、安定した調和の取れた穏やかなバランスを取り戻すための指針の1つとなり得るのが、今日ご紹介したい「陰陽統合」という考え方なんです。
この「陰と陽の統合」の考え方を日常生活にインストールしていくことが、内的な葛藤や苦しみを溶かしていくための、実践的で実用的な「心の技術」になるかもしれません。
<<< 陰と陽の統合とは >>>
当研究所で扱う「陰陽統合」とは、「陰と陽」という東洋思想に基づいた視点から、二元的でアンバランスな陰と陽の、それぞれのエネルギーの相対的な要素を合わせて1つにする (統合する) ことで、その本来の安定・調和・バランスを取り戻し、「非二元的な純粋なエネルギー」に変容させることや、そのプロセスを指します。
これはあくまでも、陰陽統合という歴史ある思想の、1つの解釈に過ぎませんが、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
当研究所のセッションでは具体的には、でィマティーニ・メソッドと呼ばれる質問集をその柱として使い、アンバランスな感情(ポジティブな感情やネガティブな感情)を手がかりに、自分の中の偏った想念や固定観念(=基準)を見つけ、その陰と陽のバランスを見つけていく、という内的作業を行います。
その陰と陽のバランスが質的にも量的にも完全に整った時、仏教的にいうならば「中道」の境地に至った時、頭の中に「対消滅」と同様の現象が起こり、「心の中に光と愛と感謝が満ち溢れる」という体験が起こります。なかには、まぶたの裏に強い光を感じる人もいます。
少し専門的な話をすると、ここで出てくる「対消滅」とは、素粒子とその反粒子の対が合体して消滅し、他の素粒子や光子エネルギーに転化するという現象のこと。
たとえばマイナス電荷をもつ電子と、プラス電荷を持つ陽電子が衝突すると、電子と陽電子が互いに打ち消しあい消滅して、各々のエネルギーの和と等しいエネルギーを持つ素粒子や光子に変換される、という物理現象です。
そしてこれとそっくり同じ現象が、ポジティブな感情とネガティブな感情でも起こるんです。
感情っていう心の産物と物理現象って、一見すると関係なさそうに見えます。でも感情も、脳内や血液の中を駆け巡る神経伝達物質、例えばセロトニンとか、ドーパミンとかノルアドレナリンとかの脳内物質が、頭や血中を駆け巡り引き起こす複雑な化学変化と、それらを処理する脳内の電気信号の働きと捉えれば、対消滅という物理現象が脳内で発生することも、論理的には飛躍しすぎではないと思います。
つまり陰の感情と陽の感情が統合されると、陰も陽もともに消滅して、光のような純粋なエネルギーが生み出されます。
そして上述の通り、物理的な対消滅の場合と同様に、その対となる感情のエネルギーが強ければ強いほどその分、統合されたあとのエネルギーの和は大きくなります。
そして感情を手がかりに、いわば「内的な」対消滅を引き起こすための体系的な方法がディマティーニ・メソッドと呼ばれるテクニック。
ディマティーニ・メソッドでは特定の対象に対して抱いている、アンバランスな感情の陰と陽の調和を、一連の精密な質問に答えていくことで洗い出していく (または思い出していく) 、というロジカルな作業を行います。
そして、感情のバランスを整えるための一連の質問に答えていくことで、頭の中の「正しい・間違い」、「優劣」や「善悪」、「損得」や「貴賤」等々の、自分を縛っていた二元的な幻想が徐々に減少し、やがて消滅し、その結果、ありのままをありのままに受け入れた、無条件の愛と感謝を感じ始めるようになります。
ちょっと脱線すると、「無条件の愛と感謝」とは、~~ だから愛している、といった条件付きの愛や感謝ではなく、~~ であっても、~~でなくても、どうであっても、無条件にありのままを愛している・感謝している、という意味です。つまりこれが、陰や陽といった二元的な「極性」を持たない、「非二元的な純粋なエネルギー」です。
より実生活に即して言えば、自分や他者のネガティブに感じる言動や特性が、多面的視野・長期的視点で見れば自分や周囲にどんなメリットをもたらしているか、といった180度、発想の転換をするような問いを投げかける、自分の内面に答えを探していく作業、とも言えるかもしれません。
それは例えば「正しい、間違っている、こうあるべき、べきじゃない」といったような、幻想から解放される、ということです。
また反対に、自分や他者のポジティブに感じる言動や特性が持つ、デメリットにも目を逸らすことなく勇気を持って意識を向ける、という作業も並行して行います。
これは例えば「自分はあの人より劣っている、いい人でいなくてはいけない、失敗してはいけない」といったような幻想から解放される、ということです。
誰かと比べることなく、ありのままの世界と自分を無条件に肯定できる、ということでもあります。
この陰陽統合のプロセスを、体系的なアプローチに組み立て直したのがディマティーニ・メソッドで、その特徴の1つが、ポジティブ思考ではないということ。
自分の劣っている (ように見える) 部分にもプラスの要素があって、反対に優れている (ように見える) 部分にもマイナスの要素がある。
それらは共にありのままで素晴らしく尊く、変える必要もなければ否定する必要もないんです 。そうすると過去のあの出来事はどうしてそうだったのか、そうでなければならなかったのかが腑に落ちて理解できるようになります。いままでの人生の中の、点と点が線で繋がるような感覚を感じられると思います。
「正しい・間違ってる」とか「優れている・劣っている」というのは、輪っかである輪ゴムの一部を切り取って直線にし、そこに「右と左」を見い出しているようなものではないでしょうか (「アセンション(次元上昇)の本当の意味」にてこのあたりを説明しています)。
「あの大失敗」の体験の裏には、どんな学びや成長、出会いなどの恩恵が隠されているのか。
「あの大成功」の体験の裏には、どんなチャレンジやリスクや、落とし穴が隠されているのか。
その陰と陽を見つめ、その両方に等しく意識の光を当てる。
それは「善・悪などの二元性からの解放」とも言えると思います。
世界や自分を、ありのままに愛するための「心の技術」。
まずは気軽に、自分への問いを投げかけることから始めてみませんか?
そこから「統合」への道のりは始まります。
(「陰と陽の統合」が「自己の内面の統合」につながる、ということについて
こちらの記事「なぜあなたの陰陽を統合することが強力な癒しになるのか」や
こちらの記事「分離感と自動思考の相関関係」で触れています)
今日は陰陽統合という東洋的哲学思想を、ディマティーニ・メソッドという西洋的心理アプローチで読み解くという、ある意味、思想的な陰陽統合を試みてみました。
このブログでは、陰陽統合とか非二元、中道について、できるだけわかりやすく、できるだけ理論的に、例え話なんかも交えながら、さまざまな角度から説明をしています。
よかったら他のページも覗いていってみてください。

