分離感と自動思考の相関関係

 

bunri

 

 

 

 

 

 

内面的な分離感とは、
自己の内面が相反する複数の部分に分離している感覚を指します。
自己の一部を否定・抑圧して、受け入れられていない状態ともいえます。
ユング心理学では「影(Shadow)の未統合」と呼ばれ、
ディマティーニメソッドでは、「ペルソナの分裂」と呼ばれます。
立派な名前が付いてますが、それは決して特別なことではなく、
「優しい人でいたいけど、怒ってしまう」などといった
誰でも経験するごく日常的な「理想と現実のギャップ」、
または「こうしたいけど、できない (or するべきじゃない)」、
といった矛盾・葛藤からうまれる心理的な対立です。

そしてこの内的対立が生まれると無意識のうちに、
脳は矛盾や葛藤を解決して「統一感を取り戻そう」と働きます。
でもこういった矛盾や葛藤ってなかなか解決されないですよね。
このなかなか解決されない自分の中の矛盾や葛藤が、
ぐるぐると止まらない苦しい自動思考の原動力となります。
つまり頭の中の苦しい雑念が止まらない一因は、
あなたの意思が弱いからでも精神的欠陥があるからでもなく、
脳にもともと備わった自己統合のための便利ツールが
少し過剰に反応してしまっているから、とも言えると思います。
認知行動療法で言われるような特定の経験や学習に基づく
思考パターンや認知のクセなども分離感や内的対立の表れの1つと言えます。
(自動思考の原因についてはこちらでも書いています)

そんな内的対立の根本的対処としてとてもおすすめなのが
ディマティーニ・メソッドというアプローチなんです。
ディマティーニ・メソッドでは、
あなたが感じる強い感情を手がかりに、
体系的に組み立てられた一連の質問を通して
その感情的負荷の対象を特定し、
その対象の持つ正負の要素の両方を
意識的に統合することにより、
自己の内面の陰の陽の統合をします。

ディマティーニメソッドを使い自己の陰と陽の統合を行うと、
自分の中でマイナスに感じて抑圧し、切り離されていた部分、
例えば「優しくない自分、怒りっぽい自分」にはプラス・マイナスの両方があって、
逆に「優しい自分、怒らない自分」にもプラス・マイナス両方があるのが見えるので、
その結果、優しくてもいいし優しくなくてもいい、ただありのまま、
起きたこと・起きることを、何とかしようとなくていいし、
そもそも相反する要素や矛盾を抱えているのが人間で
自分は優しさも意地悪さも両方を兼ね備えているし、
それが人間の本来のありのままで、両者はともに等しく尊くて、
両方ともこの世界と自分の大切な一部、ということが腹の底から理解できます。

抑圧されて切り離されていた部分が統合されると、
自分の中での矛盾や葛藤が解消し、内的対立が減るので、
苦しい自動思考も和らいでいく傾向を感じられると思います。
もちろんこの内的対立が全ての思考の原因とは言えません。
例えばストレスも思考の増減と相関関係にあるでしょう。
でもストレスを感じるそもそもの原因が、
「理想と現実のギャップ」といったような
心理的な矛盾や葛藤から発しているケースも多いかもしれません。

自分が握りしてめている偏った信念や想念を見つけるたびに、
つまり「〜〜であるべき」とか「〜〜であるべきじゃない」とか
あるいはそれらに準ずる「理想」や「コントロールしたい願望」を
自分が握りしめているのを見つけるたびに、
「理想」と「そうでない現実」の陰と陽を統合してあげる。
そうするとその度に、陰と陽の統合をすればするほど、
頭の中の静寂がより深くなり濃くなっていくのを実感できると思います。
日常の生活の中で、思考と思考の合間の静かな時間が少しずつ増えると思います。
同時に、思考によって過去や未来に振り回されることが減少するので、
目の前のありのままの現実、「今ここ」を感じる時間が増えると思います。
ぐるぐる止まらない自動思考がうるさくて苦しい時、
あなたの中の陰と陽の統合をしてみませんか。


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