感情を味方につける

 

感情ってなんなんでしょう。なんで感情ってあるんでしょう。感情って、私たちの人生に彩りを添えてくれる調味料的な側面もあれば、逆に私たちを引きずったり振り回したり巻き込んでおし流したり翻弄したり、なかなか思い通りにならない厄介な存在だったりもします。

感情って本当に色々あるけどそもそも私たちが生き物として感じるもっとも根源的な感覚、フィーリングは『快』と『不快』なんだそうです。一番ベーシックな感情と言い換えてもいいかもですね。そしてその『快・不快』から派生するのが『好き』と『嫌い』という感情。

目の前の相手は敵か味方か。危険か安全か、食べることができるのか否か、あるいは捕食される恐れはあるのか否か、今自分が見ている対象を(自分の既存の知識や経験などの情報と)瞬時に比較して(個としての生存率をあげるために)適切な判断を下す、そのための便利な機能の一つが感情だったんですね。仏教ではこの辺りを、「五感や心が何かに接触すると感覚が発生する。その感触が心地よければ心地よい感覚が生まれ、その感触が心地悪ければ心地悪い感覚が生まれる」といってますよね。

この対象を瞬時に「比較」して「判断」を下すことによって生まれてくる、肯定的感情&否定的感情。『好きと嫌い』『喜びと悲しみ』『優越感と劣等感』『期待と不安』etc. これらのプラスの感情とマイナスの感情はそれぞれ対になっていて双極的な感情とか二元的感情と呼んだりします。本頁ではこれらのプラスの肯定的感情とマイナスな否定的感情、機能として備わった感情の『役割』や『捉え方』について考察してみたいと思います。

そもそも感情とは

上述の通り感情とは、危険を回避して生き残るための生理的で心理的な反応。そしてもっとも原始的で根元的な感情は快不快から生まれる好き嫌い。危険か安全か、敵か仲間か、自分の生存にとって好都合か不都合かを様々な要素を瞬時に分析して好悪を感じることで生存のための判断をしていました。だから元々感情を感じるっていうのはサバイバルのために備わった合理的な機能だったはず。

つまり進化論的視点から見れば、感情は生存確率を効率よく上げるためのサバイバル競争に有利に働く機能だったから残った、とも言えるかもしれないですね。不要な機能であれば衰退して淘汰されるはずですし。ちなみに進化論的な視点からすると、論理的思考という機能は生存に便利で、論理的思考をするには経験や知識や知覚したものを記憶する必要があり、その記憶をするのに感情が一役買っているようです。それら膨大な情報の記憶を時系列ごとに効率的に整理しつつ蓄積するのに大いに役立つのが感情という機能なんだそうです。むしろ、私たちが普段日常で触れる情報は量が膨大すぎてそれらを全て記録(記憶?)に残そうとするとやはり膨大な量の保存キャパシティが必要になってくる訳で、かといって脳内の自我意識としての記憶を司る部分のキャパは当然有限なわけで、そこで『感情』を利用することによって情報の重要度に序列をつけているのかもしれないですね。だから一個体としてより強い感情を感じた物事や出来事はより重要な情報として強く記憶に残るし、逆に感情や感覚を刺激されない情報は重要性が低いと判断されるってことですね。んで、空き容量が減ってきたら自動的に重要度の低いものから記憶が圧縮されて潜在意識の深いところにアーカイブされて、新しい情報のための空きスペースを確保する、ということだと推察されます。

そして感情にはもう一つ、私たちが自分自身を知り、世界の真理に気付き、より高い視点に目覚めていくための重要な手がかり、または道しるべ、あるいはセンサーとして機能するという、とても大切な役割があります。ほんとはこっからが本項の本題なんです。前置き長くなってすみません。

比較と判断

私たちは、「対象と既知の情報とを比較して損得や安全か危険かを判断していた」というのはすでに述べました。「あの赤くて丸い木の枝にぶら下がっているのはかじったら甘くて美味しかった。だから好き」、「同じ木の枝にぶら下がってるけど、あの細長くてクネクネ動くのはかじりついても美味しくなかったばかりか逆に噛み付いてきて痛かった。だから嫌い」とかとか。

そして生命としての自然な流れで、「種の保存のために、不利益や外敵や危険を排除して、仲間の安全や利益を確保するにはどうしたらいいか」とか「快を求めて不快を避けるにはどうしたらいいか」
「出来る限り苦痛を避けて、より多くの快楽だけを享受するにはどうしたらいいか」などということを希求するようになったのは想像に難くありません。つまりどうやら私たちが「幸せになりたい」って願うことの源泉の1つはここにあるようです。

感情発生のメカニズム

ともあれ、そこから派生して安全かどうか、得かどうか、正しいかどうかの基準が作られて、その結果「〜べき」とか「〜べきじゃない」とか「常識」とかの信念体系が作られていきます。なぜなら私たちはみんな幸せになりたくって、幸せになるためには安全で快適でお得で美味しくて正しいもの気持ちいいものを選択したくって、その「選択」をする際に便利なのがすでに用意してある判断基準(モノサシ、価値観、信念 etc.)。その判断基準っていうのがつまり「べき」だったり「常識」だったり「道徳」だったり。そしてこれらに従ってればいちいち考えなくてもいいから楽ちんです。「その状況ではこう感じる」「AときたらBと返しとけば間違いない」みたいなフローをパターン化して省エネしてる感じです。

そしてそれをもとに色々をジャッジしてその結果、「基準に合うか / 反するか」によって感情を感じる、これが多くの双極的感情が発生するフローなんです。めっちゃ端折ってますが。そしてもっと突っ込むならほぼ全ての感情の発生の根っこにあるのは『比較』で比較のないところに感情は発生し得ないし、逆に言えば双極的感情のないとこに比較はない。この辺はまた別の機会に。

話を戻すと、この感情が発生するフローは上述の通りある意味すごくパターン化されていて、だから(同じ時代・文化圏に住んでいれば)悲しい話は誰が聞いても悲しいし、非倫理的な出来事や非道な事件には多くの現代人が類似した憤りを感じたりします。一昔前の映画で「3回泣ける」なんてキャッチフレーズがあったのもまさに感情発生のパターンが同時代に同じ社会に生きてる多くの人達に共有されてることの証ですよね。(言い換えるなら、安全かどうか、種にとって自分という個体にとって得かどうか、正しいかどうかの基準に合うか合わないかを「感情」を使って判断して『社会的』な生存率あるいは優位性を高めるのにも一役買ってる?)

つまり自分の中の「べき」に合致すればプラスの感情を抱くし、逆に自分の価値観や信念である「〜べき」に相反するものであれば、マイナスの感情を抱く。例えば例えば、「人間関係の基本は挨拶!」「笑顔で挨拶するべき」って信じてたら、挨拶を返さない人にちょっと反感を感じたりあの人は信用できないなと思ったり、そこまで思わなくってもなんか気持ちがモヤモヤしたり。

「小さなことにも積極的に感謝の気持ちを表現するべき」
例えばこんな『Should / Should not』を握りしめているとしたら誰かが感謝を表現するたびに・表現しないたびにジャッジをしそれに関してポジティブまたはネガティブな感情を感じると思います。
「この年齢なら〜〜なのが当たり前」「ポイ捨ては悪」「順番は守るべき」「他人の迷惑を考えろ」などなどこんな信念や想念も同様です。

感情を味方につける

そして感情の強さはその価値観や信念などの判断基準への執着の度合いに比例するんです。言い換えるならどれだけ強くその基準を握りしめてるか、どれだけ多くの「そうであるべき理由」を抱えているかに比例するんですね。だからポジな感情にしてもネガな感情にしても自分が強い感情を感じるってことはつまり自分はなんらかの信念や価値観などの比較のモノサシを持ってるんだ〜、というサインなんですね。別にそういったモノサシや信念を持ってるってことに良いも悪いもないんだけど、より自然で自由で軽やかで安らかな生き方を意識するのであればそれらのモノサシや判断基準を中和して手放してあげることもできる。それらのプラスエネルギーやマイナスエネルギーを統合して中和してあげることによってちょうどいい真ん中 =『中道』の境地を体感することができるんです。

そしたら真の意味で「どちらでもいい」し「どちらもいい」って思えるようになるんです。人助けすることは素晴らし場合もあるしそうでない場合もあるし、人助けしないことが素晴らしい場合もあるしそうでない場合もある。『人間万事塞翁が馬』なんですね。困難は成長や自立のきっかけになるかも知れないし、天が授けたもうた乗り越えなければいけない試練なのかも知れないし、それはもう人智を超えた私たちが窺い知れない領域で秩序が保たれてて、だから人助けすることもしないこともどっちもアリで、したいと思ったらすればいいし思わなければ助けなければいい。真理の種明かしをしちゃうなら正にそのバランスが宇宙の完璧さであり、秩序なんですね。全てはただそうあるだけなんです。世の中、何一つ否定しなきゃいけないことなんてないんです。あなたもあの人も、どんなものも出来事も。

そしてそのためにとっても有効なのが『ディマティーニメソッド』。そして自分が握りしめている価値観や当たり前や道徳などの『モノサシ』に気づかせてくれるためのありがたい道しるべになるのが『感情』。『感情』を手掛かりに『モノサシ』ははっきりさせることができる。そしてその『ものさし』は手放したければ手放すことができる、という自由。日常生活が自分の握りしめている「べき」を手放すための気付きの場になる。

あなたはもっと自由になれる♡

日々感謝感謝です♡

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