ぐるぐる思考が苦しい時は

 

思考には『自動的に流れてくる「受動的な」思考』と『意図的に使うことができる「能動的」な思考』の二つがあると思います。人間は1日に平均約5万個もの思考を処理していてそのうちの8割〜9割は昨日の思考の繰り返しなんだそうです。そしてそのほとんどは頭の中に自動的に流れてくる受動的な思考なんだとか。この受動的な自動思考にとらわれているとき私たちの意識は、「いまここ」にあることができません。なぜならそういう受動的思考は決まって「いま」ではない「過去」や「未来」や「ここ」には存在しない「誰か」や「何か」についての思考だからです。

「いまここにある」とか「いまここにいる」っていうのは過去でも未来でもない「今現在のこの瞬間」に意識の焦点を合わせている、ということなんだと思います。いまこの瞬間を感じて味わっている、という感覚…衣服や風が肌に触れる感触や、耳に入ってくるいろんな音、匂い、空気感、皮膚の内側の感覚…それらを「そのままありのまま」味わっているとき、自分自身の感じている感覚と現在進行形で深く繋がっているとき、そんなとき「いまここ」なんだと思います。そんな感じではないかな、と思います。そんなときって考えごととか思考とかあまりしてないと思うんです。だから分類もないし比較もないし判断もない。その場の感覚を「ありのまま」味わっているという感覚ではないでしょうか。色々と思考が出てるときって「いまここ」にいられないですよね。逆に「いまここ」にいられてるときっていろいろと考えごととかしてないですよね。いまここにいることを妨げてるのはいつも「過去や未来」の思考、ともいえるかもですね。でも思考がないからといって今ここにいられてるかというと必ずしもそうじゃないんですよね。不思議です。

でも「今ここにいられるか否か」と「頭の中に思考があるか否か」は密接な関係があることは確かみたいです。頭の中に勝手に流れてくる思考を弱体化させることによって、生き物に本来備わっている直感や第六感や自分の心の声みたいなものとより繋がりやすくなることを感じられると思います。自分の頭の中の勝手に流れてくる思考が弱く遠く小さくなって色あせてきた感じがしてくると、それと反比例するかのように、「理論」や「損得」や「正誤」や「常識」や「他人の意見」じゃない、「自分自身の感覚」や「直感」や「心の声」がより大きく強く確信を持って響いてくることを実感できると思います。それはどんな賢者のどんな有名な教えよりも的確で崇高なガイダンス(導き)です。このサイトの根底を流れるテーマの一つは、「自分自身といまここに、心穏やかにくつろぎながら、己の道しるべに導かれていくための具体的な方法を発信していくこと」です。まずは手始めに、そのための具体的な2つの方法について以下、簡単に触れてみたいと思うので、ぜひ最後まで読んでみてください!

<頭の中の思考>
マインドフルネスなんかではよくいわれることですが受動的な勝手に湧いてくる自動思考は「気付いてあげること」で徐々に距離を取ることができるようになってきます。思考が出てくるたびに「あぁ、思考だ!」って気付く練習ですね。コツとしては、自分の頭の中の思考に気付いたらすかさず、「今ここ=身体の感覚や五感」に意識を向けること、です。ヴィパッサナー瞑想でもまったく同じことを教わりました。ヴィパッサナー冥想は、いま自分の意識に最も強く感じられる部分や刺激や身体感覚に意識を向けていく、という瞑想です。ネドじゅんさんという方が教えていらっしゃる方法論もすごくわかりやすくてオススメです(ボディスキャン瞑想とよく似たエレベーターの呼吸というのを紹介されています)。気がつくたびに少しゆっくり自然に呼吸しながら、呼吸に意識を向けつつ同時に五感を感じられるようにするといいかもしれませんね。なぜなら思考って、二つ以上のことに意識が向いている時って、うまく回らないみたいなんです。試しにちょっと左右両方の手のひらの感覚に意識を集中させたまま同時に呼吸に集中してみてください。うまく集中できてる間、その間、思考が静かになるのって感じられるでしょうか。最初はなかなか思うようにいかないかもしれないけど気付き続けることで思考が中断され続けて徐々にx2、思考と距離が取れるようになっていきます。

頭の中の思考と距離が取れてくると、思考に巻き込まれずにいられるようになるからそうすると頭の中がシーンとして、心もシーンとしてくる時間が増えてくる。いまここにいられる時間が少しずつ長くなっていく。いまここが濃くなっていく。そんな感じです。少しずつ少しずつ、長くなっていくんです。ぜひ気長に練習してみてください。

<陰陽統合>
でもね、特に強い感情を感じてる時は溢れ出てくる思考につい乗せられてぐるぐる苦しい考えが止まらない、なんてこともあると思います。特に、否定的な感情が伴ってる時の思考って苦しいですよね。そして苦しいんだけど止められないから、余計に苦しいですよね。

強い感情を抱くほど、印象深く記憶に残り深く記憶に残るほど、自動思考のネタになって頭の中でぐるぐるするんです。だから頭の中で感情を伴うしつこい思考が止まらない時は、ディマティーニメソッドを使ってぐるぐる思考の原因となる感情的な葛藤や執着を根本から中和してあげるのが超オススメなんです。ちなみにディマティーニ・メソッドではここのところを、「統合されていないペルソナの数に比例して頭の中の雑念の数も増える」と表現しています。陰陽統合をすればするほど、自分の中で否定され、自身から切り離されていたペルソナが統合され、その度に頭の中の雑念のネタが減っていく、という感じでしょうか。

だからむしろぐるぐる思考が止まらないときは、感情のバランスを整えバラバラになっていた心を整え「統合」してあげることで、頭の中を静かにして内面的な平和を生むチャンスと捉えちゃうこともできるんです。自分の中にある自分が握りしめている価値観を中和することによって、善悪や優劣や損得などの比較のための二元的なモノサシや判断を統合・中和していくと、自分自身との心理的な分離感が埋まるから、頭の中の雑念が減っていきその結果、過去や未来にとらわれることが減ってよりマインドフルな状態で「いまここ」にいることができるようになるんです。

強い感情を伴うしつこい思考は、過去や未来についての思考であると同時に、アンバランスな比較判断や解釈が生み出すアンバランスな感情の産物でもあるんです。そこでディマティーニメソッドを使ってこの感情のアンバランスを整えてあげるとアンバランスな判断や解釈が均衡を取り戻しその結果、感情の揺れ幅が減り安定感を取り戻し、過去や未来に思考が飛ぶことが減り、あなたの心は本来の落ち着きを取り戻します。仏教でいう「中道」の境地を体現しつつ、よりいまここにい続けることができるようになります。なので受動的な自動思考を止めるには陰陽統合がオススメなのです。

ここところを少し深掘ると、「アンバランスな感情を感じる」ということはつまり「〜べき」などの偏った信念や価値判断基準を生む偏ったモノサシを握りしめているということ。それはつまり「〜べき」であるという自分の行動を無意識に制限するような抑圧するようなメンタルブロックを握りしめているということでもあるんですね。

なので強い感情を伴ってぐるぐる回る苦しい思考は、自分がどんなメンタルブロックを握りしめているのか教えてくれているとてもありがたいセンサーとして捉えることもできるんです。そしてそういったメンタルブロックを一つ一つ丁寧に溶かして中和していくことで一歩一歩、自分が自分らしくいられるための自由を取り戻していくことにもなるんです。もっともっといろんなことにオープンに気づいていきたいですよね。だって私たちはみんなもっともっと自由になれるんだから。

P.S. 頭の中の自動のおしゃべりと距離が取れてくると「これって自分が考えてるんじゃないんだな〜」っていうのも感じられるようになってくると思います。そうなるとめっちゃ楽しいです。

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